半月板損傷の運動療法とは【ピラティスによるリハビリ】
半月板損傷の概要
半月板は、大腿骨内・外側顆と脛骨関節面における接触部分の辺縁を覆うように存在する繊維軟骨です。
半月板損傷は、膝関節に異常な屈曲・伸展、荷重位での回旋力が働くことで、正常な運動軌道から逸脱した半月板が挟み込まれて損傷・断裂・剥離した状態のことをいいます。
半月板損傷の分類
断裂形態の分類により、縦断裂・水平断裂・横断裂、それらの合併型に分類されます。
半月板損傷の症状
症状としては、膝関節裂隙の圧痛、大腿四頭筋の萎縮、屈曲・伸展ともに障害されるlocking、完全伸展が障害されるextention block、方向転換時の膝くずれ現象giving way、クリック音の異常音、引っかかり感[catching]、弾発現象などが挙げられます。
半月板損傷の徒手検査法
- アプレー圧迫テスト
- マクマレーテスト
が徒手検査法としてあります。いずれも膝関節屈曲位から回旋を加えながら伸展方向に動かすことで検査していきます。
半月板損傷の症状が再現されることで評価することができます。
半月板損傷の運動療法
膝関節における半月板は丸い形状の大腿骨顆部と平坦な形状の脛骨顆部との間隙を埋めて適合性を得るとともに、接触面積を拡大して関節への圧縮応力を分散させる働きを持ちます。
膝関節の運動時には、脛骨顆部に対して大腿骨顆が動きます。
屈曲の際には、大腿骨顆が後方に移動しながら関節の構成運動である「転がり・すべり」を行います。
伸展の際には、大腿骨顆が前方へ移動しながら関節の構成運動である「転がり・すべり」を行います。
内外側の半月板はその大腿骨顆の動きに伴って移動することで大腿骨顆と脛骨顆部の間に挟まれることがなくそれらの安定性を保ちます。
この運動の中で、内側の半月板は内側側副靭帯の後斜走線維との結合があるため外側半月板より移動量が少ないという特徴を持ちます。
靭帯性の緊張などにより大腿骨顆部の動きに合わせて半月板が移動するとい他動機構といいます。また、筋肉の作用によっても半月板を移動する自動機構も存在します。
内側半月板は半腱様筋と、外側半月板は膝窩筋とそれぞれ結合しています。膝関節の屈曲の際にこれらの筋肉の働きによって半月板が後方へ移動することによって半月板の挟み込みを防いでいます。
膝関節伸展時には大腿四頭筋の収縮により横靭帯や内外側半月膝蓋靭帯・膝蓋下脂肪体が緊張して半月板を前方へ引き出しています。
これらの自動機構がなければ、半月板は大腿骨顆の移動に伴って円滑な移動が困難となり大腿骨顆と脛骨顆部との間に挟まり損傷を受けることが考えることができます。
運動療法としては、大腿四頭筋の中でも外側広筋と内側広筋のバランスを整えることで膝関節伸展時の半月板自動機構の円滑化を導き、また適切な膝関節のアライメントでハムストリングスの収縮のバランスを整えることで膝関節屈曲時の半月板自動機構の円滑化を促すことで症状の軽快を図ります。
半月板損傷とピラティス
ピラティスでは、ハムストリングスをバランス良く使うエクササイズがあります。ハムストリングスのバランスを整えることによって半月板の移動を円滑にして膝関節運動の際の負担を軽減することができます。
また、大腿四頭筋の中でも広筋群と呼ばれる筋肉が膝の直上にありますが、その筋肉の使い方を再教育しトレーニングすることによっても膝関節の運動を円滑にすることができます。
ピラティスの優れている点は、それらのエクササイズを行うマシンがあるところです。
マシンがあることで同じ環境で正確に動きを反復することができます。
過度に動きの際に痛みが伴う場合には、インストラクターが膝関節の適切な動きを施術してから行っていただきますので動きを理解しながら行っていただけます。
また、膝関節と共に股関節や足関節・脊柱の機能を改善することで体にかかる衝撃を分散させることができます。
その点においても膝関節の症状の軽減が期待できます。
膝関節の痛みが軽快すると移動が楽になります。活動性が上がって行動範囲が広がります。
いつもは行かなかった、行く気にならなかった場所まで行けたりすると嬉しいと思います。
ピラティスで正確な動きで筋力をつけて活動的な自分でいるためのサポートをすることができたら嬉しいです。